2008年1月5日土曜日

キール「で?どういうことなんですか?家の馬鹿親父には説明期待できないんで…。」
シルド「あはは、ユルは変わらないなぁ。」
ユル「い、いや!二十年来の親友!!そこはフォローしてくれよ!」
シルド「…え?………さてと、じゃあ、説明、説明。」
ユル「その、え?は、何にたいしての、え?、なんだ!?」
キール「親父、うるさい。」
ユル「う、ぐす…しくしくしく。」
シルド「で、だ…旅立てっていうのは、別に追い出したいとかじゃない。」
キール「じゃあ、なんで?」
シルド「俺たちの古い知り合いが居る村でな、若い人手がほしいそうなんだ。それで俺たちが行くわけには行かないし、他に適当な人材も居ない…で、お前らにおはこが回ってきた、ってわけだ。もちろん行きたくなければ行かなくていい。」
アル「行きたくなければいかなくていいって…もう荷物用意してるじゃん。」
シルド「一応な。」
キール「ふむ……アルはどうするんだ?」
アル「俺?…ん~……そうだなぁ……あんまり、村の外には出たことないんだよなぁ…。」
シルド「……どうだ?」
アル「………いや……面白そうだなって…。」
シルド「…そうか…じゃあ、この話、受けてくれるか?」
アル「うん。キールはどうする?」
キール「ん?お前一人じゃ不安だからな、付いてってやるよ。」
アル「ひでーなぁー。」
シルド「うん…さてと…ユル、いつまでもふざけてるんじゃない。」
ユル「あ?……すんすん。」
シルド「……切るぞ。」
ユル「すまん!!さてと…じゃあ、本当に旅立ちだな。」
アル「今すぐ…なんだよな?」
シルド「ああ。あ、それと、途中でサクスのところとカイラのところによってクレイ君たちを連れってくれ。もう了承はとってあるって話だから。」
キール「あの二人もですか…シエルとノアは?」
ユル「もっちろん一緒だ。ノーモアの町で合流してくれ。」
アル「てか…目的地どこ?」
シルド「場所は地図に書き込んである。名前は……『名のない町』っていう。」
…………
マイン「じゃあ、二人とも気をつけてね。」
アル「うん。母さんも無理しないでね、体調が悪くなったらすぐにラティさんを呼んでね?」
マイン「わかってる。」
レミア「あ、これはお弁当ね。早めに食べなさいね?」
キール「ありがとう……リンシスにもよろしく。」
リンシスはキールの二つ下の妹で現在は魔術を会得するための学校に留学している。
レミア「ふふ。言ったら押しかけけるかもしれないわね。」
キール「そのときは何とかなだめてみるよ。」
シルド「それじゃあ…なんかあったら相談しろよ。」
ユル「あと、いつでも帰って来いよ。」
キール「ああ。」
アル「じゃあ…。」
二人「「いってきます。」」
………………………………………………
そして現在。
キール「はぁ…クレイの家まで半日、そのあとセスの家があるラウンドバレーまではもう半日。途中で夜になっちまうな。」
アル「その前にクレイの家に泊めてもらおうか。」
キール「そうだなぁ……なぁ…アル。」
アル「ん?なに?」
キール「……周り、囲まれてるな。」
アル「だね。」
今までだらけていた二人の顔が、急に真剣なそれへと変わる。
キール「……何体だ?」
アル「15匹……息遣いからしてオオカミ型のanother。」
Anotherとは、本来居る魔物などのDNAをもとに作られた魔物で、生殖機能を削りとられている代わりに、殺戮、狩猟本能を増幅させられている。
元々は科学技術の発展した、北の大陸のみに分布していたのだが、近年、アルたちの住む大陸等にもその広がりを見せている。

2007年11月15日木曜日

hope13 第一話 始まり

始まりは、小さな小さな、願いにも及ばぬ思いだった。
この世に憤りを感じ、この世に焦りを感じた。
ただ、初めはそれだけだった。
それだけの思いが、やがて…願いへと変わってしまった。
決して、願ってはいけない願いだった。
しかし…願いは止まらなかった。
止まらない。
止まらない。
止まらない。
ああ、許されることならば、もう一度、私は願う。
この願いを打ち消す『希望』を、この世界に。
どうか、この世界を壊さないで。
この美しい世界達を壊さないで。
この醜い世界達を壊さないで。
どうか…壊さないで…。
どうか、この世界を救って。
どうか、『私』を止めて。



・・・・・・・・・………………………・
hope13
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?「あ~……つかれたぁ。」
?「だなぁ……なあ?どれくらい歩いたっけ?」
人の手が入っていない深い森を二人の若者が歩いていた。
どちらもが大きい荷物を背負っている。
片方はブラウンのセミロングの髪と大きな目をしていて、今は疲労に歪んでいるが端整な顔立ちをしている。
もう片方は黒く長い髪に青く鋭い目をしていて、その目と同じ色のローブを纏っている。やはり綺麗な顔立ちだ。
どちらも年齢は今年で14。
名前をブラウンの髪がアル・エルフォード、黒髪がキール・クライトンという。
彼らが森の中を歩いているのには訳があった。
時間は半日ほど戻って早朝のことである。
……
キール「で?もう一度、頼む…なんだって?」
ユル「だ~か~ら~…今日からアル君と一緒に家を出てどっかで仕事しろ。」
キール「まぁ・・・・・・色々言いたいことは此処では飲み込むこととして…俺等はまだ擁護されていて良い年だと思うんだけど?」
ドン!と机に手を打ちつけながら自分の父親、ユル・クライトンをにらみつけるキール。
まぁ、怒りも最もだ。
まだ彼は十四。
独り立ちするには早すぎる。
と、いっても、彼には既に独り立ちするだけの能力はあるのだが。
キール「で?俺が納得できるだけの説明をしてもらおうか?あん?こら。」
流石に息子の気迫に押されたのか、ユルは身体をやや後ろにのけぞらせる。
ユル「え、えーとだな……レ、レミア?」
ユルは必死で妻のレミア・クライトンを探すが先ほどまですぐそこに居たはずの彼女は既に居なかった。
ユル「に、逃げた!?」
キール「な~に、助けもとめてんだぁ?あ?」
ユル「い、いや、あの…キール君?」
キール「んだよ?」
ユル「か、家庭内暴力はよくないなぁ。」
キール「大丈夫。」
にっこりと、額に青筋を立てながらキールは…
キール「これは、粛清だ。」
と、いって父親に殴りかかった。
ユル「ぎゃああああああああ!!!」
そのユルの悲鳴は、村中に響き渡り、後に『最後の叫び事件』と呼ばれたとか呼ばれないとか。

一方その頃アルの家では。
アル「ふぁ…おはよ~…。」
マイン「あ、アルくん、おはよう。」
やさしく挨拶を返す母マイン…その前にはかなりの大きさのリュックサック。
アル「おはよぉ…?ん?……父さんどっか出かけんの?」
マイン「?なんで?」
アル「いや…そのテーブルの上のドデカイリュックサック…。」
マイン「ああ…これはね、アルくんの荷物。」
アル「………え?なんで?」
寝ぼけた頭で考えているため、反応がやや遅れています。
マイン「え?…今日からキール君と旅に出るから、でしょ?」
アル「……え!!?なんで!?」
マイン「あれ?シルドから聞いてないの?今日旅立つから、昨日のお夕飯はあんな豪勢にしたのに。」
アル「…アレはそういう意味だったの!?どうしたんだろうとか思ってたけど…。」
マイン「あ~…まったく…シルドも変わってほしいところは全く変わらないわね……。」
アル「ていうか…旅?」
マイン「うん。旅。」
アル「……………ま、いっか。」
マイン「あっさりしてるわね。もうちょっと食い下がると思った。」
アル「母さんたちの旅立ちに比べれば突発的じゃないよ…。」
マイン「あはは。それもそうね。」
アル「ところで、父さんは?」
マイン「道場じゃないかしら?」
アル「そっか……ちょっと行ってくる。」
マイン「うん。がんばって。」

アルの家から渡り廊下で続いた場所に道場はある。
ここでは普段、アルの父親シルドやユルが剣術、槍術などを教えている。
昼間などは門下生達が切磋琢磨する声が聞こえてくるのだが、さすがに早朝とあってシンとしている。
その道場の真ん中で両刃の剣を構える男がいた。
止まっているはずの男の身体の回りには、大気が渦巻いている。
動きがあった。
男がゆっくりと、剣を持ち上げ始めたのだ。
それにあわせて男の周りに渦巻いていた大気も動き始める。
そして、切っ先が脳天の上まで来ると、一気に刃が振り下ろされた。
心地よい風切り音とともに、渦巻く大気が断ち切られ、霧散する。
刃は音もなくぴたりと正眼にとめられる。
そこで、初めて男の顔から緊の文字が消える。
その直後に入り口から浅い拍手が送られた。
アル「流石、『剣聖』の素振りは違うね。父さん。」
シルド「その二つ名はやめてくれ、アル。…どうしたんだ?稽古つけてほしいのか?」
アル「う~ん、まぁ、それもあるけど…とりあえず説明、してほしいかな?」
シルド「説明?なんのだ?」
アル「旅のことについて。」
シルド「………あ……言うの忘れてた?」
アル「うん。」
シルド「い、いやぁ~、悪い悪い。」
アル「まぁ…いいけどさ…とりあえず何でか、とか、色々説明してよ。」
シルド「そうだな。それも説明しなきゃいけないよな…よし…さっきの悲鳴から考えてユルもぼっこぼこにされてるだろうし、キール君よんできてくれ。俺が説明しよう。」
アル「わかった……ていうか…ユルおじさんはよくぼこぼこにされるね。」
シルド「あっはっは!それだけは昔から変わらないなぁ。」
アル「絶対に和やかに言うことじゃない…。」